リン酸処理を行う理由
リン酸処理とは、金属の表面に化学的にリン酸塩皮膜を形成するための処理方法です。金属は素材によっては塗装を施さないとサビが発生してしまうため、塗装して表面を保護することにより、自動車や建材など様々なものに使用されます。塗装工程の前に、金属表面をきれいで均一な表面にし、塗料が付着しやすい状態に処理する必要があります。その際の一工程として行われるのが、リン酸処理工程です。リン酸塩皮膜剤による化成処理を行い、リン酸塩皮膜の密着性を上げると同時に防錆性の向上させます。リン酸塩皮膜を形成することによって、金属の腐食を抑える効果が期待できるため、錆びて傷みやすい金属に対して処理が施される場合が多いです。
リン酸処理工程での消泡剤の選び方
リン酸処理工程では消泡剤が必ず使用されます。消泡剤とは、液体中に泡が発生するのを防ぐ効果のある化学物質です。リン酸処理工程では、金属とリン酸が金属表面上で化学反応を起こすため、発生した気泡が付着することがあり、金属表面が凸凹になる可能性があります。よって消泡剤を使い、泡をなくすことで金属表面を均一化させるのです。消泡のメカニズムは、低い表面張力を持った消泡剤によって発生した泡の膜を破壊することによります。消泡剤には、シリコーン系消泡剤と,有機系消泡剤があります。シリコーン系消泡剤は、水に対する拡張性・溶解性とも小さいという特性や、耐熱性・耐薬品性があるため、有機溶剤を使用したくない場合や、有機系消泡剤が使用できない条件下でも使用できます。工程の温度や液性はもちろん、安全性の観点からも、適切な消泡剤を選ぶ必要があります。
消泡剤とは、液体に泡ができないようにするための添加物のことです。一度できてしまった泡を消す破泡性と、泡ができるのを防ぐ抑泡性という2つの作用があります。